訪問看護を通じて、田舎に帰ろう。日本への思いを取り戻せる医療

「もっと社会貢献できる医療を」都会で芽生えた想い
かつて、都会で看護師として働いていた私は、日々の忙しさの中で「もっと社会貢献になるような医療看護がしたい」という想いを抱くようになりました。
病院という枠の中で患者と向き合うだけではなく、人と人が支え合う地域社会の中で、本当の意味で“寄り添う医療”を提供したい──その想いが次第に強くなっていったのです。
きっかけは、友人の田舎への移住でした。休日に訪ねたその町は、美しい海と緑に囲まれ、どこか懐かしさを感じる風景が広がっていました。
そこで出会ったのは、温かく迎え入れてくれる地域の人々。彼らと触れ合う中で、「人を愛し共に歩む」という、日本人が古くから大切にしてきた価値観が、まだ生きていることを実感しました。
その瞬間、私の中で“訪問看護を通じてこの町に貢献したい”という決意が芽生えたのです。
「家に帰りたい」という願いを叶える訪問看護
訪問看護は、病院や施設とは違い、患者さんが「住み慣れた家」で安心して暮らし続けられるよう支える医療です。親族や友人、近所の方に囲まれ、最期の瞬間まで自分らしく過ごせることは、何よりの幸せです。病状の管理だけでなく、何気ない会話や笑顔のやりとりが日々の喜びとなり、「家に帰りたい」という多くの方の願いを叶える場でもあります。
私自身も、実家近くで入院していた祖父がこう漏らした言葉に胸を打たれました。
「最期くらい、家で死にてぇよ…」
その一言が、私を大きく突き動かしました。祖父の願いを叶えたい。しかし、病院も足りず、介護も足りない。訪問看護という言葉すら、地域の人には馴染みがない──それが現実でした。それでも必要としている人は確かにいる。ならば、自分がその一歩を踏み出そう、と。
地域医療を支えるための課題と向き合う
一方で、訪問看護を事業として継続するには、医療保険・介護保険制度の理解が不可欠です。制度は地域や都道府県によって運用や解釈が異なり、さらに2024年の診療・介護報酬改定では報酬の見直しが大きな経営課題となっています。
制度を正しく理解していなければ、現場を支える看護師たちが安心して働ける環境をつくることはできません。
そして何より、人材は訪問看護の命綱です。採用できてもすぐ辞めてしまう、教育に手が回らない──そんな課題を抱える事業所は少なくありません。
だからこそ、働く人が誇りを持ち、地域の一員として愛されるチームをつくることが、訪問看護の発展には不可欠なのです。
訪問看護は「日本らしさ」を取り戻す道
田舎に帰るということは、単なるUターン就職ではありません。それは、自分の原点と向き合い、日本人が大切にしてきた「絆」や「暮らし」を再び自分の中に取り戻す旅でもあります。
訪問看護は、その道を示す灯火です。最期を家で迎えたいという願いを叶えることは、同時に地域全体が生きる力を取り戻すことにもつながります。
もしあなたが、今の働き方に迷いを感じているなら、一度立ち止まって考えてみてください。
医療を通じて、人を支え、町を支え、日本を支える──そんな看護の在り方が、まだここにあります。
訪問看護を通じて田舎に帰る。それは、あなた自身の心をも豊かにする選択なのです。

